尿路結石症
腎臓で作られた尿は、尿管?膀胱?尿道を通って体外に出ます。 尿中に含まれているカルシウムや尿酸などの成分が固まって石になったものが尿路結石です。尿路結石は、結石の位置によって分類され、腎結石、尿管結石、膀胱結石などがあります。
症状
結石は、はじめは腎臓にできます。 結石が腎臓にある場合には症状がないことも多いのですが、結石が腎臓から尿管に下降すると痛みが生じることがあります。この痛みは、『痛みの王様』と呼ばれるほどの激しい痛みで、腰背部、側腹部、下腹部に広がります。 結石が膀胱に近づくと頻尿、残尿感などの症状を認めることもあります。痛みとともに、吐き気を催すこともあります。
その他に認められる症状は、血尿です。目で確認できる肉眼的な血尿や検査でわかる血尿までさまざまです。また、結石によって尿の流れが障害され、腎臓に貯まった尿に感染を起こすと、腎盂腎炎という感染症を発症することもあります。結石による閉塞が原因で発症した腎盂腎炎は時に重篤となることがあり、緊急対応が必要となります。
診断方法
以下検査方法から尿路結石の診断をします。
- 尿検査
- 超音波検査
- レントゲン検査
- CT検査
治療方法
水分の摂取や飲み薬による保存的な治療法で自然に出るのを待つこともあります。 しかし、痛みが強い場合や結石が尿とともに排出されるのが難しいと判断される場合には衝撃波による治療や内視鏡による治療を行います。
一昔前までは、結石を取り除くためには、お腹を切って手術する方法しかありませんでしたが、20年ぐらい前より体の外から衝撃波を当てて結石を破砕する画期的な治療法が行われるようになりました。体外衝撃波結石破砕術といいます。 この装置にて治療できない結石の場合にも、内視鏡の手術でほとんどの結石が治療可能になっています。
1:体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
もっともよく行われ、侵襲の少ない治療方法です。専用の装置を用いて体外から結石を破砕します。 当院では2016年にドイツ製機種を更新し、破砕効率が向上しています(※結石により異なりますので詳細は医師とご相談ください) 。
2:経尿道的尿路結石破砕術(TUL)
尿管鏡という細い内視鏡を用いて結石を確認し、各種の破砕装置を用いて結石を破砕し摘出します。
3:経皮的尿路結石破砕術(PNL)
超音波ガイド下で腎ろうを作り、腎ろうから腎盂鏡という内視鏡を挿入して結石を破砕、摘出する方法で、主に腎結石が大きく、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿路結石破砕術(TUL)での破砕が難しい場合などに適応となります。
4:経尿道的膀胱結石破砕術(TUL-BS)
膀胱結石の場合に行う内視鏡手術です。膀胱内の結石を内視鏡で確認しながら、各種の破砕装置を用いて結石を破砕し摘出します。 下半身麻酔で行うことが多い手術です。
再発予防
尿路結石症は治療後に再発することが多く、尿路結石の再発率は5年で約50%と言われています。破砕治療後の患者様には結石の成分分析を行い、原因検索とあわせ、定期的な検診/再発予防対策が重要です。規則正しい生活/偏りのない食生活をおくること、水分をよく摂取すること(1日に2000ml以上)が予防策となります。また、結石の成分によっては内服薬で結石再発を予防できる場合があります。
1:水分摂取
水分摂取を行うことにより、結石形成促進物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸)の濃度を減少させることができます。 水分摂取を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- 飲水量を多くする。
心臓や腎臓に問題なければ2L程度の尿量を確保します。 - シュウ酸の多い飲料の過剰摂取は控える。
コーヒー/紅茶/ウーロン茶/緑茶などの過剰摂取は控える必要があります。コーヒーや紅茶を飲む際にはミルクを混ぜる、などの心がけが必要です。 - 清涼飲料水や甘味飲料水の過剰摂取をさける。
多量の砂糖を摂取することにより、尿中カルシウムを増加させることになります。 - アルコールの多飲は控える。
アルコールを飲むことにより一時的に尿量は増えますが、寝ている間の脱水を引き起こし、また、尿酸/カルシウム/リンの尿中排泄を増加させます。
2:生活習慣/食生活の改善
尿路結石症の生活習慣/食生活の特徴は、高血圧/糖尿病/高脂血症の特徴と共通し、予防法も共通です。結石症を発症した際には、これらを改善することにより、未来におこる生活習慣病の発症を予防し、ひいては脳梗塞や心筋梗塞の予防となる可能性があります。
- 運動不足/肥満の改善
- 動物性タンパク質/脂肪の過剰摂取の改善
- カルシウム摂取不足の改善
- 塩分過剰摂取の改善
- 野菜/海草類の摂取不足の改善
- 夕食から就寝までの時間の延長 (4時間以上空けること)
参考文献: 尿路結石症のすべて 編集 日本尿路結石症学会